侍達の夜明 のべるわんでいのお部屋

更新は不定期ですが、雑記・観光・訪問記録など。古典を学び、ポール・セザンヌを研究し、日本の自然を描く。洋画家。日本画家。タイトルは、自作のSF時代小説からきております。立命館大学 法学部卒 法学士

カテゴリ: 第一部 プロローグ

※ 7月27日 午後12時30分。 僕の車は、161号線の京都へ抜ける渋滞した道路にはさまれていた。 中天にあがった太陽が、オレンジ色に変色した中古のアルトに容赦なく照りつける。 排気ガスが陽炎のように目の前で立ち登り、ドア窓を開いた僕と正 ...

※ 7月27日午前4時50分。 夜明け前。 星空の向こう漆黒の東山の稜線に沿い、東雲の空がほの青白く日の出が始まろうとしている。 真昼の灼熱の余韻を残すアスファルトは京都駅に続き、僕の運転するアル ...

※ 7月27日 午前2時30分。 クーラーのタイマーが切れ、途端に目が覚める。 むっとした暗がりの部屋に、障子がうすぼんやりと月明かりを受け、まるで影絵のステージのようになっている。今に障子のそ ...

※ 居間のテレビでは、阪神対巨人の東京ドームのナイトゲームをやっていた。 ピッチャーは9勝3敗の先発井川。対する巨人のピッチャーは同じく先発の6勝8敗の上原であった。 ...

※ ガレージにバックで入ったアルトが止まり、そのテールランプが消える。 「ただいま」 父親のきちんとそろえた黒光りした皮靴が、その先を玄関に向けているのが目に付いた。 扉をゆっくり ...

※ よく見ると、その横断歩道の前に立つ武者は真っ赤な鎧の上に黒白法被のような陣羽織を着ている。 しころの広い真っ赤な平兜から鹿の角のように突き出た二本の前立ての下で、正木の引き結んだ口に緒が密着していた。 ...

* 京都、四条河原町。 ここは京都市の中でも、いや全京都の中でも、最も繁華な町といわれる。 タクシーやバスが幅広い車道を縦横無尽に走り回り、土産物屋・宝飾店・百貨店・飲食店などが、おしく ...

※ ホームグラウンドを取り囲む観客席には、暇な学生らがところどころ固まって点在している。 盛り上がっているのは、両サイドの応援団とチアガールだけであった。 僕は、南国模様のポロシャツに擦り切れたジーパ ...

平成17年7月26日(火曜日)。  西京極球場。午後3時。 わずかにたなびきながらも浮かぶちぎれ雲を残し、後は吸い込まれそうにどこまでも続く,青空。 夏の午後の日差しもわずかに緩みはじめ、時折、快い風がここ西京極球場を吹き抜けてゆく。 同命社大 ...

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