侍達の夜明 のべるわんでいのお部屋

更新は不定期ですが、雑記・観光・訪問記録など。古典を学び、ポール・セザンヌを研究し、日本の自然を描く。洋画家。日本画家。タイトルは、自作のSF時代小説からきております。立命館大学 法学部卒 法学士

カテゴリ: ベルモンド・ブルックナーの怪奇譚

(筆者注)今回の上記画像は、映画「トロイ」より引用させてもらいました。本編に登場するガレー船とは少々形状が異なりますが、雰囲気だけでも味わってもらえればと思います。画像と本編とは全く無関係です。そもそもガレー船を500隻以上の画像を描きたいのですが、今の ...

「ディミトリスさん・・・・・・」 窓から差し込む灰褐色の光が、うっすらと司教並びにその背後にいる僧衣の男を包んでいる。僧帽の影に隠れ、男の表情は全ての感情を消し去ったかのようにその口元を引き締めていた。 赤々とした司教服だけが、このぼんやりとした薄灰色の ...

僧衣の男は、振返らずにその僧帽の後姿だけが頷いた。天井からの雨水のしたたりが砦全体の静けさを醸し出している。 最初の踊り場にたどり着いたその男は、燭台の炎を揺らせながらディミトリスにその横顔を見せ、顔を扉に戻しそれを軽く引いた。ダークグリーンの羽目板の扉 ...

―― 自分の話しに誰も耳を貸さない側近は、頭を抱えて甲板にひざまずいた。傍から見れば、まさに完全に常軌を逸した状態であった。やがて側近は、他の者達が彼を支え上げる腕を振り切ると、胸に架けていたロザリオのキリスト像にキスをして、そのまま海に飛び込んでしまっ ...

――    船団は、真っ直ぐ波間でその銀色に光る物に突き進んで行った。やがて、はっきりとしてくる。船長の乗ったガレー船が他の船に合図をして、今いる場所に停留するように指示をし、一方でそのガレー船は、波間でうねるそのへびのような物にじりじりと近づいていった ...

――    エーゲ海に浮かぶその島は、ギリシャのアテナイから、海上十キロメートル程離れたところにあり、海に浮かぶ三日月型の島だ。今から三千五百年程前にその島の火山が噴火してミノア文明で栄えたアクロティリの町が消滅した。その火山は町を消滅させただけではない ...

ゴードンが佇んだままでいると、ベルモンドは調べていた書籍にしおりを置いてばたんと閉じる。 そして、チェアの背もたれに身を反らし 『どうやら、またいつものように眠れないようだね。まあ、ソファーにおすわり』 ゴードンはポケットにつっこんでいた両手を抜くとガウン ...

ベルモンド・ブルックナーの怪奇箪全五話 『物語一話目 水車』 時代:一二世紀 第四回十字軍遠征 舞台:エーゲ海南部キクラディス諸島最南端の島 ティラ島(サントリーニ島) 寝巻き姿の上に青の厚手のガウンを羽織ったゴードンは、祖父の部屋の前に腰をかがめていた ...

枯れ木の山も賑わいにと思い、現ブログとともに少しずつ併走していきたいと思います。 なんだかこっちの物語の方にも目を向けたくなり、実は数日前から少しずつ書き始めてます。 少しずつですので、毎日というわけには参りません。メインが現ブログ表題の物語です。 もと ...

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